ごく当たり前の日常から
恋をすることなんて、すっかり忘れていたわ…。



「あ、もう…こんな時間、パートに行く時間だわ」


ハッ…と我に返ると、時刻は12時を過ぎていた。


慌ててソファに置いていたバッグを掴み、私は玄関へと早足でかけた。


靴を引っ掛けながら、お母さんに声をかける。

「お母さん…後は、宜しくお願いしますね」

「はいはい…由紀乃、気をつけて行くんだよ」


「はい、いってきます」

ドアノブに手をかけると、太陽の光が私の全身を包み込むような暖かさだった。



「今日は、少し暖かいわね…もう、9月だと言うのに…」


私は、呟きながら青空を見上げる。




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