こんな僕たち私たち
1章-3<ピンクの便箋と、午後の血痕>
が、しかし。何だか悠長な事を言っていられなくなったのが、昼休み。

 私は黒板の前で、美里や数人の友達とくっちゃべっていた。

「でねー、結局両方ともフっちゃったんだって」

「うっそぉ」

「もったいなー」

 たわいのない世間話が飛び交う。女子が集まると自然に恋の話になるから不思議。もちろん私もそういう話題は嫌いじゃない。

 お喋りタイムが続き、昼休みも残り数分となったその時だった。

 ガラガラッとうるさい音をたてて入ってきたのは、校庭で遊んでいたクラスの男子達。その中にはいつも通り七緒もいる。

 ……心なしか、七緒の顔が赤いような。

 そう思った次の瞬間には、お調子者の男子が大声でその理由を明らかにしてくれた。

「はーい皆さん注目ー!! ビッグニュースでーす! 何とついさっき、七緒がラブレターを貰っちゃいましたー」

「ええぇ!?」

 ら、らぶれたぁ!? 嘘!?

 そんな古典的な……!!

 ヒューヒューだとかモテモテーだとか、男子たちのヤジ(ひがみ?)が飛ぶ。

 騒つく教室の中で、七緒が動揺まるわかりのやけに高い声を出した。

「お、お前なぁっ!! こんな場所で……しかも大声でベラベラしゃべってんじゃねーよ!!」

 否定しないって事は、本当なんだ…。七緒、本当に貰っちゃったんだ!
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