こんな僕たち私たち
1章-1<七不思議少年と、ジャージ少女>
七緒と並んで校門をくぐると、

「いててて」

「何」

「いや視線が……」

 あぁ、七緒狙いの方々の殺気立った視線が痛い……。

『2年2組の東七緒は、あんなに可愛いのに男』。これ、この有坂中学校の七不思議の1つだ。(ちなみに他には『校長の髪の毛は年々不自然に増え続ける』『飼育小屋のオウムは、誰が教えたわけでもないのに下品な言葉で女子生徒に絡む』etc...)

 七緒はその顔のせいで、女の子──たまに危ない感じの男の人もいるけど──に、特に3年のお姉さん方に人気がある。だから私が七緒への気持ちに気付いた4年前、奴はすでにたくさんの女の子に狙われていた。その人数は中2になった今でも増える一方。まさに恋愛サバイバルってやつだ。

 でも、最近思う。

 この恋の本当の問題点は、実は七緒でもライバルの先輩達でもなくて──

「はぁ」

 思わず溜め息が出た。

 すると隣で七緒が、
「へー、心都にも溜め息つくような悩み事あるんだ」

 と、可愛い顔を歪めながらさり気なく嫌味。

「あんたのせいだっての!!」

 絶叫する私の顔を見て、七緒の目には「?」マークが浮かんだ。

 ……あぁ、もう。この鈍感、どうにかしてくれ。

 私はがっくりと肩を落とした。


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