こんな僕たち私たち
2章-7<消えゆくモノと、少しの本音>
「うわエロ息子の料理ひどいなー」

「だからその呼び方やめろって」

「あら、学ぼうとする心意気が立派よ〜。心都、お婿さんにするならこういう人よ?」

「ママンそこで私に振らないで☆」

 現在7時30分。ここ杉崎家のリビングで、私たち4人は食卓を囲んでいた。

「どうせお料理教室するんだったら今日のお夕飯は2人でお願いね」とお母さんに半ば無理矢理包丁を握らされた(危ない)のが約1時間前。

 それから七緒と何とか作った『肉じゃがと言えば肉じゃがに見えなくもないモノ』が本日のメインディッシュだ。

「…作ってもらっといてあれだけどさ。何かこれ本当ビミョー……」

 『肉じゃがと言えば(以下略)』を一口食べた明美さんがぼそりと言う。それを聞いた七緒はフッと偉そうに鼻を鳴らした。

「今回の失敗は俺だけの責任じゃねーもん」

「何それ私のせいとか言っちゃうわけ?」

「確かにじゃがいも煮過ぎて溶かしたのは俺だよ。でもその前に何かわけわかんねーけどしらたきをめっちゃくちゃに切り刻んだのは心都だからな?」

「そっ、それは――…」

 それは人参を切る私の手を見た七緒がおぉさすがは一応料理部員じゃーんとか言いながら寄って来て可愛い顔近付けるせいで(再び・危ない)馬鹿みたいにドッキドキして側にあったしらたきまでぶった切っちゃったから、だっつーの。

 ……とは言えない。

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