こんな僕たち私たち
2章-8<情緒不安な朝と、再来>
 どうしてこう、頭の中でリピートしちゃうんだろう。つい1日前の、同じシーンの台詞ばかり。

『参加するの結構遅くなっちゃうけど。…それでもいい?』

 ──ええ、いいですとも!何分でも、何時間でも待ちますとも!

『汗くさかったら悪いけど』

 ──そんなの構いませんとも!むしろ貴方の光る汗に私はメロメロズッキュンですとも、うっふふふふふふ。
























「キモい」

 朝日が差す明るい教室。その爽やかな空気の中で、美里はあっさりと言った。

「え?」

「朝からそのキモい笑い方やめてよねー。考えてる事まるわかりよ?」

 どうやら私はまた、自分の顔に責任を持てていなかったらしい。

 何とか頬を引き締めようと、必死で頑張ってはみるものの。

 …駄目だ。にやける。

「だって嬉しんだもん」

「まぁ確かに普段の心都から考えると上出来よね。素直に自分の気持ち言って誘うなんて」

「んへへ」

「…だからさ。もうちょっと可愛く笑おうよ」

 目を眇め呆れたように美里。だけど今の私はそんな事気にしていられないくらいに浮かれ気分だ。

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