こんな僕たち私たち
2章-11<名言と、乙女チックな彼等>


 中1にしては割りと長身な禄朗は、159センチの七緒より少し大きい。

 目を輝かせる禄朗と少し困り顔の七緒が並んで立っていると、まるでカップルのように見えてくる。

 もちろんどっちが女の子かというと、それは想像通り。








「お別れは辛いっスけど…ここまでっスね…」
 1階の階段前にて。

 禄朗は切なげな瞳を七緒に向けた。

「…禄朗」

「いいんス、何も言わないでください…」

 朝独特の静かな冷気が、辺りには漂っている。

「また、会いに来てもいいっスか…?」

 禄朗にしては珍しく、少し躊躇いがちなその口調。

 そんな彼の心配をとっぱらうように、七緒はさらりと答えた。

「ん。いつでも」

 必殺・美少女風(ってかまんま美少女)きらめきときめきスウィートBabyスマイル。私命名。

 今日は一段と眩しい。

 禄朗の瞳に色とりどりの薔薇が咲いたのは言うまでもない。

「…お二人さん早く行かないと授業始ま…」

「うっせ黙ってろボサボサ」

 …なんか慣れてきたけどさ。どうにかならないかな、この私の扱い。指で地面にへのへのもへじでも書きたい気分だ。
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