渇望-gentle heart-
どうやら俺達は、すっかりこの島に馴染んでしまったようで、昔より少しだけ、俺の腕だって太くなったような気がします。


そして、ふたりで毎日を精一杯に生きています。


時には悲しいことだってあるけれど、でもそれよりずっと、わくわくするようなことで溢れているから。


家族や仲間も増えました。


かけがえのないものだって見つけました。


未熟だった頃を過ぎ、苦しんだ過去を乗り越えた今、こんなにも安らかな場所を手にしたんだ。


だからもう、誰も憎まず、願わくば、優しい人間でありたいと思っています。


俺は器用じゃないから、全ての人を愛せるほどの器なんてないけれど。


でも、たったひとりを大切に想っていたいから。


俺はこれからも、この場所で、真綾と生きていこうと思う。



「なぁ、こんな時だけど、言って良い?」


「どないしたん?」


「いや、まだちゃんと言ってなかったなぁ、と思ってさ。」


「何やねんな。」


急かす彼女に、



「愛してるよ。」






寄せては返す波音に
平凡なだけの言葉が溶ける。



幸せの色。

それは太陽の輝きにも似て。









END

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