出来ちゃった恋愛
お腹を触ったサキの手は暖かかった。



あたしとサキの関係は微妙な感じなんだと思う。



彼氏でも友達でも他人でもない。



よく言えば婚約者に当て嵌まるのかも。



「俺達、離婚しねぇでやってこうな」

「縁起悪っ!!プロポーズした日に離婚の話し?」

「ほら、うち片親だから。父ちゃんってどんなもんかわかんねぇけど…できる限り頑張るから」

「サキ」

「ん?」

「あ…ありがと…」

「…………こちらこそ」



帰りの電車は笑顔だった。



手を繋ぐわけでも、腕を組むわけでもない。



でも、あたしとサキの間に生まれた不思議な感情は、もしかしたらすご~く小さな恋だったのかも。



ちなみにミクロ級の小ささね。



それでも、産む決断を下したあたし達の心はポッカポカだった。



サキは気の合う友達で、バカでチャラくて、おまけにケンカっ早い。



そんなサキがあたしを守ると言ってくれた。



あたしも…そんなサキを守りたいと、心の底から思った。



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