【コメコン2】秘密捜査官・西董子
(自称)美人すぎる刑事・自宅不法侵入事件

西董子は、灰色のペンキが剥がれかかった一つの扉の前に立っていた。
自らの気配を、殺して。

扉の上半分を占める曇りガラスからは、扉の向こうで大柄の男たちがうごめいている様子がぼんやりと伝わってくる。

西は、存在に気づかれないよう壁に張り付くと、そこからさらに中の様子を伺う。

時折、野太い声で何かを話している男たち。
内容は聞き取れないが、その声の様子からして百歩譲っても
「なぁ、誰か早く次の曲入れろよ」
「じゃあ俺、お嫁サンバにするわ」
・・・みたいな楽しい話し合いをしている雰囲気ではない。

西は今、本日最大の危機に直面していた。
今からこの扉を開け、男たちの中に単身で突入しなければならないのだ。
しかも、彼らに気づかれないように、だ。

西が、細心の注意を払いながら、そっとドアノブに手をかけた。

高鳴る鼓動。
額ににじむ汗。

西は、この局面を乗り切るために、最新脳研究に基づく作戦を発動することにした。





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