【コメコン2】秘密捜査官・西董子

今から遡ること数日前。

西刑事はこたつでゴロ寝をしながら、ケータイ小説「ゴンドールの大陸」を読んでいた。

西刑事の住むアパートは、外壁に「若月荘」と毛筆体で記された、築40年の古い集合住宅。
内側も外見にふさわしい昭和の香り漂う簡素な作りで、それぞれの居室を隔てる壁は、「壁ってこんなに薄く作れるのか」と感心したくなるほど薄い。

当たり前だが、お互いの生活音が手に取るように聞こえる。

私はキース様かな。
アーロンとキースに同時に言い寄られたら、キース様を選ぶと思う。
…うーん、でもアーロンも、いいよねぇ。
どうしよう、選べないよー!

などと、特に求められてもいない選択に、西刑事が頭を悩ませていたとき。

事件は起こった。


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