恋愛ジャンキー *-甘い蜜に溺れて-*
◇ふたりのヒーロー

┗唯SIDE




「あ、唯!」


目の充血がひどくて、キズでもついてたら大変だから病院に行った方がいいとかなんとか。

保健医の先生がおおげさに言って、4時間目が終わるまで保健室から出られなかった。


充血が治らなかったら今日の放課後病院に行くって約束をして、やっと帰してもらえたんだけど。


教室の前までくると、まだジャージ姿の千春が駆け寄ってきた。


……っていうか、みんなまだ着替えてない。

なんでだろ。


異様な雰囲気の教室を見ていると、千春が言う。


「なんかね、体育中に佐藤さんのお財布がなくなっちゃったんだって」

「えっ……、佐藤さんの?」


名前を聞いて一番に浮かぶのは、なぜかいつも睨まれてるって事。

そのせいか、いつの間にかあたしの中には、佐藤さんに対して苦手意識があったりする。


だって、睨んできてる理由が未だに分からないから。



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