恋愛ジャンキー *-甘い蜜に溺れて-*
◇緊急事態発生
┗唯SIDE
【唯SIDE】
「つーか、本宮。ちゃんと行ったんかな」
ようやく気持ちが落ち着いて、涙が止まった頃。
あたしを抱き締めたままの都築くんがそんな事を言い出す。
バっと顔を上げると、それに気づいた都築くんが腕を緩めた。
「落ち着いた?」
「あ、うん……。
っていうか、それより今のどういう意味? 先輩、行かなかったかもしれないって事?」
弱く降り続いている雨が、都築くんの髪を濡らしていた。
都築くんは手を離してから説明する。
「行かなかったんじゃなくて、行けなかったんじゃねーかなって。
本宮、方向オンチじゃん」
「……えっ?!」