恋愛ジャンキー *-甘い蜜に溺れて-*


大通りから外れると、さっきまでの人ごみが嘘みたいにしん、としていた。

たまに走っていく車の音くらいしか聞こえない。


静かな道を歩いていると、ようやく気持ちが落ち着いてきた。

周りが騒がしかったせいで何も考える余裕がなかったから、それが今になってやっと……。


本宮先輩の事が、だんだんと頭の中を支配していった。


本宮先輩、ちゃんと彩香さんに会えたんだ……。

よかった。……うん。

これでよかったんだ……。


また熱くなろうとするまぶた。

でも、今なら雨のせいにできちゃうかな、なんて。


なんかカッコいい映画みたいかも。

しかもこんな濡れながら歩くとか、昔の映画とかでありそうだし。



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