恋愛ジャンキー *-甘い蜜に溺れて-*
あたしがコクンと頷くと、都築くんは目を逸らした。
そして、真っ直ぐに前を見ながら話し始める。
「本宮んちの親父、政治家なんだよ」
「えっ」
「本宮が生まれた頃からずっと。じいちゃんも政治家だったって言ってたから、一家揃ってやってんだろうけど。
そのせいってわけでもないだろうけど、常に家ん中がギスギスしてたって。
本宮の人格っていうよりは、周りの目ばっか気にしてるような親で、本宮自身には感心がなかったらしい」
「……それって、今も?」
心配になって聞くと、都築くんは浅く頷いた。
「俺が本宮と逢ったのは、中学ん時。
本宮も俺も……、なんつーか、グレてて、その仲間として逢ったのが初めてだった。
本宮は親父への反抗からだったんだろうけど。
いつの間にか一緒に授業サボったりするようになってた」
「え……っ、先輩がグレてたの?!」
「一時期だけだけどな。すぐ、止められたから」
「……誰に?」