君想論 〜2人のサヤカ〜


いや、確かにね。

この空気をぶち壊してくれる存在を桐野くんは求めたさ。

しかし、徐々に此方に近づいてくるこの足音の主の存在威力はミサイルポットと同等の破壊力がある。


マトモな人間なら裸足で逃げ出すが如何せん、足が凍りついて動けまてんよ!!!!




タッタッタッタッタッタッ!!!!!!




滝汗の桐野くん。

机と同化したままの[梧 清花]。

興味深々の[噂好き女子]達。

戦慄するメロンパン。


悲しきかな、時の流れは無情也。

着々と此方に近づいてくる足音は、教室の前でピタリと止まった。

教室の入口に取り付けられたらスモークガラスには、小さな体躯の少女のシルエットが映った。


嫌な予感だ、さぁ逃げよう、だがもう遅い。


入口の戸が横にスライドし、満面の笑みを浮かべた少女の黄色い声が轟いた――………









「桐のーーーーん!!!!!!!一緒にご飯食っべよーーー!!!!!!!!」


「……………」






全桐野が泣いた。


“イッセー”こと、[柿金一世]の登場。


オレの右手からメロンパンがスルリと落ちた……


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