君想論 〜2人のサヤカ〜


「どうして今、双眼鏡を蹴り落としたり何かしたんですか……??」

(グッ……!!!!)


この女……

余程、桐野くんを吊し上げにしたいらしい……!!!!


「いやいや、まっさかッ!!!!オレは双眼鏡なんて知らない知りません存じておりません!!!!見間違いでしょうそうでしょう!!??」

「あっ……双眼鏡だ……」

[梧 清花]は2秒前までの桐野くんを嘲笑うかのように、屋上真下のコンクリートで冷たくなっている[チラリズムくん]を発見していた。


「そんなバーカなバーカッ!!!!オレは覗きなんて不埒な真似、一切合切していません!!!!!!」

「……覗きをしていたんですか……??」


[梧 清花]の無機質な瞳がオレを真っ直ぐ捕らえている。


「なっ……バーカなッ!!!!一体全体、何を覗いていたと言うのだねッ!!??」

「あ……女子更衣室のカーテンが捲れてる……」

「……………」

















被告人・桐野くんの罪状は明らかであり、弁護のしようのない裁判は犯人の自白という結末で小槌が叩かれたのであった……




―――…………
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