チャンピオン【完】
そんな私の気持ちを汲んでくれたのであろう。
了くんは自分の二階の部屋にはいると、速攻でベッドの上の窓を開けた。
それから身を乗り出し、ガンガン隣の家の窓を叩いている。
やがて向こうで顔を出した制服の人物に、彼は言った。
「暇? ちょっと来てくんない」
「うん、なに? 一時間くらいしたら出かけるけど、それまでいいよ」
ぴょんと窓枠飛び越えてやってきたのは、私の是非お会いしたかった了くんのクラスのイケメンだった。
お隣さんであったのか。
「この子、梨沙の友達の詩ちゃん。これしげるん」
「知ってる... !」
雑誌載ってるの見た事ある。
今時の綺麗な顔立ち、長い手足。
あの時は雑誌の中の彼の事がとってもかっこ良いと思った。
こんなのが彼氏だったらみんなに自慢できる。
いつか喋って見たいと思っていた。