君の御影に見た滴
隙間の道をただふらり
麻が急に取り巻きを作るようになった。


それも同じ年頃の男たちだった。


理由は、顔に出来たバッテンがほとんど分からないほど綺麗な白い顔になったからだ。
 

冬になって、血流が悪くなり、バッテンが赤く浮くのをとめているのだと思った。


同時に流行の風邪にもかかって、よく咳をするようにもなった。


「カバンをお持ちします」


と言ってくる下男に、


立場はわきまえや」


と凛とした態度で接している麻を見ると、安心した。


もう彼女が負い目に感じることなんてないのだ。


きっと良い男を見つけて、自由な恋愛をするに違いないと思った。
 

その頃から麻はまた僕の家に来るようになった。


その理由を麻は、僕が病気になったからだと言った。


自分が看病しなくてはいけないと、かつての世話焼き娘時代を思い出させた。


「僕は病気なんかやないよ」
 

どうしてこんなに健康な僕が病気に見えるのか分からなかったけど、すぐに麻は理由を言った。
< 37 / 51 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop