いばら姫と王子様 ~AfterDays~
 

携帯電話がなんだってんだ。


緋狭姉が紅皇に復帰したら、忙しすぎて神崎家にずっといられねえ。


そうしたら俺と芹霞は2人になるんだ。



よし。



家出はやめだ。


一時避難をしていた櫂の家を出て、俺は神崎家に戻る。


神崎家は俺の家だ。


俺だけの権利だ。


芹霞が退院したら。


携帯なんて必要ねえほど、芹霞を近くに感じてやる。


"おはよう"も"おやすみ"も、芹霞の直の声を聞くんだ。


機械を通してではなく。


俺が直接。芹霞の真隣で。


そして俺も囁くんだ。


誰よりも近く、抱きしめた芹霞の耳元に。


一番最後の"おやすみ"と、一番最初の"おはよう"を。


先手必勝――だ。



そう、心に決めた。



―*―*―*―*―*―*―*―*―*―*―*―



「先手必勝…だけどお前が傍にいてくれねえと意味ねえんだよ」







< 14 / 59 >

この作品をシェア

pagetop