桜色の糸*完結


「葵ちゃん帰ろ?」


未来に話し掛けられ我に返った。


「未来…?」


「ん?」


「私、自己紹介してた?」


心の笑顔を見てからの記憶が無く、自己紹介した記憶が全くない。


「えっ?ちゃんとしてたよ。
高橋葵、西原小出身って。」


笑顔で話す未来に安堵の溜め息を漏らす。


「それにしてもさ、あれ凄いね…」


未来が苦笑いしながら指で指す方へ視線を向けると


---ズキッ…


心の机の周りには沢山の女子生徒。
心の姿は女子達がいて見えなかった。


ズキズキと痛む胸。


「--痛い…」


「えっ?何か言った?」


「ううん、帰ろうか?」


「うん!」


心に背を向け、歩きだす。


--恋するとこんなに苦しいものなの?


ズキズキと痛む胸を抑えて…



< 20 / 101 >

この作品をシェア

pagetop