桜空

「――桜、その裏門から逃げよう」


今度は空が私の手を引いて走り出した。



「えぇ!!」



城はすごく騒がしい。



いつ捕まるかも分からない。



でもそんなことは頭になかった



ただ空と一緒にいられれば何も要らない。



それだけだった――…




「――…ハァ、ハァ」



なんとか城を抜け出して城下町に出た私達。



後ろからはまだ誰も追ってきてはいない。



すると、空が私を見て口を開いた


「桜、江戸にいては危険だからこれから加賀に行こう。あっちに行けば俺の実家もあるし、かくまってくれるはずだ」



「空の実家に?」



「あぁ。いい?」



「え、えぇ。行きましょ!!」



空は再び私の手を引いて歩き出した。
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