桜空

―――稽古場



「姫様のおなーり〜!!」



使用人が全体に響き渡るように言った。



「………市之助(いちのすけ)…わざわざそんな風に言わなくていいわ。今日は決闘なの。宴じゃないのよ」



「はっ!!失礼致しました!!」


市之助はまだ城に入ったばかりの新人使用人だ。
私も結構気にかけてる。



「ひーめさま!!」

「桜!!」



「春さん、海(かい)…」



海は昔からの幼なじみ。
唯一の女友達だ。
それに私の父の次くらいに偉い武士家、成宮家の跡取り娘だ。



「桜、頑張ってよね!!確か城下町にはまだ桜より強いヤツはいないのよね?」



「みたいね。まぁ頑張るわ!!私もプライドってものがあるし(笑)」



「ふふっ!!頑張りなさいよ!!」



海は私の肩をポン、と叩いた。
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