灰かぶり姫 -spinoff-
冬休みが終わる頃には、俺も半分諦めの気持ちがついていた。


周りの友達に引っ越す事を告げれば、皆、悲しそうにしてくれた。


だけど、美由紀にはいつまで経っても言えないままで。


ただ、毎日懲りもせず美由紀の家に行く事だけは続けていた。



そんなある日。


美由紀の家に行き、宿題を借りようとしていた時の事。



「雪」



泣きそうにしながらも、いつもよりも真剣な顔つきをした美由紀に呼ばれ顔を上げる。



「転校すんの?」


「うん」


「……そっか」



それ以上はお互い何も言わなかった。


きっと美由紀は心の中で喜んでるのかもしれない。



だって、俺はあまりに美由紀を泣かせすぎた。


そんな俺がいなくなるのは美由紀にとっては願ったりな事だっただろう。

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