灰かぶり姫 -spinoff-
次の日、約束の2時近くになって野沢ちゃんが来た。



「……大阪は南国なの?」



久しぶりに会ったというのに開口一番がこの言葉。



「なんでやねん!海とプール行きまくってん。野沢ちゃんは全然焼けてないなぁ」


「うん、引きこもってたからね」



笑いながら零した野沢ちゃんにジュースを差し出して、ベッドにもたれて座った。


それからしばらく他愛もない話しをしていたが、美姫ちゃんと純が約束の時間を過ぎても来ない事に何となく不思議な気持ちになる。


純はともかくとして、美姫ちゃんは時間にはキッチリしてそうなのに。


そして、また少しした頃、俺の携帯が鳴った。



「もしもーし、純?お前ら今どこおんねん?」



軽い気持ちでそう聞けば、いつになく落ち込んだ純の声が聞こえてくる。



『雪、悪い…俺と姫今日行けそうにない』


「え、どしたん?デートかいな?」



それならそれで別に構わないのだが。


その割には暗い声を出す純が心配になった。
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