灰かぶり姫 -spinoff-
その日から野沢ちゃんは毎日俺のところに来た。


ある日は「ミキコと遊びに来た」と言い、またある日は「本気で宿題しに来た」と言い…


それも俺が起きる9時半ぐらいに来て家のお菓子を食いつくし、夕方になれば帰っていく。


いつの間にか野沢ちゃんは俺の部屋にある物を自分の物のごとく扱った。


例えばクッションだとか、漫画だとか。


エロ本を見つけられた時は泣きそうになりながら謝ったものだ。


それでも、彼女がこうして毎日毎日来てくれるおかげで美由紀の事を考えずにすむ自分。



きっと、なんだかんだと心配してくれてるのかもしれない。(いや、そう信じたい)




予想が外れたのは例のお土産を渡した時、野沢ちゃんがアッサリと「ありがとう」と言って受け取ってくれた事。


中身を見て無言のまま袋に直した時はその場で捨てられるかと思ったが、きちんと鞄の中に入れていた。


いつの間にか俺の部屋で過ごすのが当たり前になってきた頃、夏休みが終わった。


大阪から帰ってきた時は絶望の淵に居た自分が今は笑えている。


それは間違いなく野沢ちゃんが居てくれたおかげなのだろう。

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