屍都市
5人でひしゃげたバスの扉に手をかけ。

「せぇのっ!」

秀一の号令で一気に引っ張る!

ギシギシと音を立てて開く扉。

「大丈夫ですか!怪我している方はいませんか!」

入り口が開き、すぐに幸羽が車内に入ろうとする。

と、その時。

「!」

中から人影が歩み出てきた。

…おぼつかない足取り、引き摺るような歩調、緩慢な動作。

最初は負傷しているせいかと誰もが思ったが、それにしては様子がおかしかった。

やがて全員の前に姿を現した人影に。

「っっっっ…!」

幸羽が絶句する。

…血塗れのYシャツ、白濁した眼を持つ中年男性。

彼はその口に、人間の腕を咥えていたのだ。

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