I LOVE YOU


家に入ると俺は暖房のスイッチ入れた。奈々はつけたばかりの炬燵(こたつ)に入って、寒すぎ、この部屋、と嘆いている。俺はそんな文句を聞き流して部屋着に着替えると、一緒に炬燵の中へお邪魔した。


「何でいきなり来たんだよ」


俺が質問すると奈々は表情を変えることなく、別に暇だったから、とリモコンを掴んでテレビを点けだした。


俺はもう何も聞かなかった。奈々という女は、こうやっていきなり現れる、それがわかっていたから。


それから俺たちは簡単に夕飯を食べ、奈々が持ってきたビールを飲んでいた。奈々はテレビから目を離すと、俺の体をじっくり見て言った。


「薫、何か痩せてない?」


「…そう?体重計なんて乗ってねーから気づかなかった」


奈々は缶に残ったビールをイッキ飲みしてから、ぶはぁ~、とおやじみたいな息を吐き出すと、俺を見た。


「アンタは只でさえガリガリなんだから、もっと食ってもっと太れ!!」


奈々は炬燵から出ると、冷蔵庫をあさりだし、ハムとマヨネーズを持ってきて、食べろ、と命令口調で俺に渡してきた。


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