【完】歌姫、そんな声で鳴かないで!
「…おはよう。どうしたの?」



「どうしたもこうしたもないよーなんで言ってくれないかなー!」



話が掴めない。香織は何を言わんとしてる?



もしかして、私が『巻田アスナ』だということがばれた…?



そう思うと、背中に冷や汗が吹き出る。



私は香織の次の言葉を、固唾を飲んで待つ。



彼女が、少し化粧したその愛らしい桃色の唇を開いた。



「飛鳥、木酪君と付き合ってるんでしょ?」



「……………は?」



しかし、香織から出たのは予想外の言葉で、私はぽかん、としてしまった。
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