【完】歌姫、そんな声で鳴かないで！

人気歌手には×××

「連絡もらえて嬉しいわ。花巻飛鳥さん。」



そう言って頬杖をつく女性は、どこかヤスに似ている。



「こんにちは…藤沢このえ、社長さん。」



目の前の四十代前半ほどの細身の女性。



そう、私を芸能界に引っ張り込もうとしている、ヤスの事務所の社長だ。



「用件は何かしら？手短にお願いね。」



そんな言葉を言いつつも、私が何をしに来たのか分かってるみたい。



「……ヤスのことが、知りたいんです。ヤスは、何を抱えているのですか？」



予想通りだったのだろう。社長はニンマリと口元を歪ませた。