【完】歌姫、そんな声で鳴かないで!
その日はあっという間にやって来た。
5月だと言うのに、幕張メッセの駐車場に作られた特設会場は熱気だっていた。
「すごー!かなり前!」
香織は四列目の右側という好条件の場所に目を輝かせている。
同級生やってる男のライブで、何をそんなにテンションが上がるものか。
まあ、香織から言わせてみれば、『木酪泰則』と『月野森きらら』は全くの別物らしいけれど。
太陽からの直接の紫外線と、アスファルトからの照り返しが、私から水分を奪う。