君が教えてくれたこと
「かんぱーい!!」
僕達の最後の学校祭は、終わった。
歌合戦の結果は、惜しくも準優勝という形で、幕を閉じた。
「そうだ。由梨?」
「ん?」
「唯ちゃんのお母さんって、もう帰ったかな?」
「そういえば、さっき体育館ではぐれちゃって」
窓の外を見ていた折越さんが答えた。
「あっ、あそこにいるよ」
全員で、窓の外を見た。
「由梨、行こう!」
「えっ、うん」
僕は、由梨を連れて、階段を駆け下りた。
外に出ると、唯ちゃんのお母さんは、帰りのバスを待っていた。
「お母さん!」
「北山さん!由梨さん」
僕等に気付いたお母さんは、ベンチから立ち上がると頭を下げた。
「今日は、ありがとうございました」
「いいえ、こちらこそ。本当にありがとうございました。唯もきっと喜んでます」
「あっ、そうだ。これを」
僕は、制服の内ポケットから、封筒を取り出した。
「これ、歌合戦の賞品」由梨は、すぐに気付いた。
「あの、負けちゃったんですけど。優勝した人がさっき「行けないから代わりに」ってくれたんです」
僕は、お母さんにその賞品を差し出した。
「えっ、私に?」
「温泉旅行のペアチケットが入ってます。旦那さんと行って来て下さい。唯ちゃんも連れて」
「でも・・」
お母さんがチケットを受け取ると、バスがやって来た。
「ありがとうございました」
お母さんは、深々と頭を下げ、帰って行った。
バスが見えなくなると、由梨は僕の手を掴んで、「片付けしに行こう!」と笑顔で言った。
僕達の最後の学校祭は、終わった。
歌合戦の結果は、惜しくも準優勝という形で、幕を閉じた。
「そうだ。由梨?」
「ん?」
「唯ちゃんのお母さんって、もう帰ったかな?」
「そういえば、さっき体育館ではぐれちゃって」
窓の外を見ていた折越さんが答えた。
「あっ、あそこにいるよ」
全員で、窓の外を見た。
「由梨、行こう!」
「えっ、うん」
僕は、由梨を連れて、階段を駆け下りた。
外に出ると、唯ちゃんのお母さんは、帰りのバスを待っていた。
「お母さん!」
「北山さん!由梨さん」
僕等に気付いたお母さんは、ベンチから立ち上がると頭を下げた。
「今日は、ありがとうございました」
「いいえ、こちらこそ。本当にありがとうございました。唯もきっと喜んでます」
「あっ、そうだ。これを」
僕は、制服の内ポケットから、封筒を取り出した。
「これ、歌合戦の賞品」由梨は、すぐに気付いた。
「あの、負けちゃったんですけど。優勝した人がさっき「行けないから代わりに」ってくれたんです」
僕は、お母さんにその賞品を差し出した。
「えっ、私に?」
「温泉旅行のペアチケットが入ってます。旦那さんと行って来て下さい。唯ちゃんも連れて」
「でも・・」
お母さんがチケットを受け取ると、バスがやって来た。
「ありがとうございました」
お母さんは、深々と頭を下げ、帰って行った。
バスが見えなくなると、由梨は僕の手を掴んで、「片付けしに行こう!」と笑顔で言った。