BAND(仮)
━━━……ザワッ
私が店内に入れば店内がシーン、と静まり返った。
だが、それに臆する事なくオーナーのいるダイニングテーブルに向かう。
カツン、カツン…
やけに響くブーツの音。
ゴクン、
誰かが唾を飲み込む音さえもが響いた。
私の定位置、ダイニングテーブルの一番端に座ると
オーナーがニコニコと笑いながら近付いてきた。
「やあ、“yoru”
ご注文は?」
わざとらしく聞いてくるオーナーにニヤリと微笑むと低い声で
「いつもの」と呟いた。
オーナーもニヤリ、と踵を返すと「かしこまりました。」と店の奥に消えていった。
そして、それを合図にまたザワザワとお喋りが始まる。