改訂版・時間よ、止まれ。










「おじちゃーん、焼きそば2つ!!」



「はい、まいど!!700円ね」






夏祭りの会場に着いて、私と優祐はとりあえず焼きそばを食べることにした。






「えーーっと、350円……」



「いいってさおり!俺おごるから」



「え!?でも……」



「ただ、焼きそば以外はワリカンな」



「…ありがとう」






優祐に焼きそばの入ったあったかいパックをもらって、近くのベンチに腰を下ろして食べることにした。






「おいひー」



「ホントに腹減ってたんだな、さおり」



「あっつっつ」



「あんまり慌てて食うなよ。誰も取らねえし」



「きゅーひょくわとってたくへに……」



「は?」






私は口の中の焼きそばを飲みこんで、さっき言おうとした言葉を口にした。






「優祐、私の給食は取ってたくせに、よく言うよね〜」



「そんなこと、あったっけ?」



「ひどーい!とぼけないでよ!!」






すると優祐は「はははっ」と笑いながら私の前髪に手を触れてきた。






「そんな怒ってたのかよ。食べ物の恨みってこえーなぁ。じゃあ、お詫びじゃないけど花火のよく見えるスポットに行くか」



「…えっ?そんなとこあるの?」



「ここじゃあたくさんの人がいて、見えにくいだろ?はぐれるかもしれないし」



「あっ、でもたこ焼きとイカ焼きとりんご飴…」



「……何か増えてないか?」








太陽が沈んで、夜が更けていく。





焼きそばを食べ終わった後、私と優祐は手をつないで一通り屋台を回った。





とりあえず目当ての物を買ったところで、優祐がさっき言っていた、花火の見えるスポットへ連れて行ってもらうことにした。













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