改訂版・時間よ、止まれ。





お互いの振袖の感想や中学の時の思い出話に花を咲かせていたら、いつの間にか見覚えのある校舎が顔を見せ始めた。






「おっ、雪にけぶるA中ってのもなかなかいいよね」



「中学校の時はよく見てたじゃない」



「そうだけど……、あっ、もう結構来てるね。ミツルくんいるかな?さおり、行くよ!!」



「え!?ちょっと待ってよ、歩きづらいんだから〜」






振袖なのに何故か器用に走り出した華恵を追いかけて、私もふらつきながら早足で中学校の門をくぐった。














「井上さん!久しぶりだね」



「あ、市川くん。久しぶりー」






華恵を追いかけて混雑するグラウンドの中を進んでいくと、スーツ姿の市川くんと楽しく話す華恵をやっと見つけた。






…ホント、こういう時だけ行動が早いんだからー。






「ごめんごめん、さおり。ついミツルくんがいると思うと興奮しちゃって…。ほら早く振袖見せたいし、ミツルくんのカッコイイスーツ姿も見たいでしょ?」



「だからって放って行く?普通」






信じられないって顔をしていたら、市川くんがまあまあと間に入ってくれた。





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