改訂版・時間よ、止まれ。





「いつも騒がせちまって悪いな」



「ううん……」






何で私に謝ってきたんだろう?





だけど、新井はそんな私の疑問をかき消すように、勢いよくスポーツバッグを肩にかけて、教室のドアまで小走りした。






「由歌梨いるから気ぃ重いけど、部活には行かないといけないから、行ってくる」



「あ…、うん。頑張ってね」






いつの間にか私は、新井をエールと共に送り出していた。










新井の話だと、どうやら新井は斉藤さんを好きではないみたいで…





むしろ、斉藤さんに絡まれること自体、気が重そうな感じだったような…





…ということは、二人は付き合ってないのか。








何だか少し、ホッとしている自分がいる。





新井と斉藤さんのツーショットに対するモヤモヤも、少しずつ消えていってる。





私だけに本当の気持ちを話してくれたことが、嬉しかった。






新井の一言で、こんなウソみたいに気持ちが晴れてくなんて。





何か最近の私、新井の言葉や態度に一喜一憂してる。








でも、この時の私はまだこの揺れる心に名前を付けることもできないでいた──。













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