先生あのね・・・


「ねぇ、何でキスしかしないの?

 ・・・私ならいいよ」

リモコンで次々にチャンネルを変えていく先生の横顔を見つめる。

「ダーメ。
高校生の間はしないよ」

軽く流すように答える先生。

「でも他の子は普通に彼氏としているよ?」

私がそう続けると

「それは高校生同士の話だろ?」

先生はTVを見ながらそっけなく答えた。

「そういう事じゃなくて・・・

好きならいいと思うよ?」


「それだけの問題じゃない」

そう言ってソファを立ち、
キッチンに歩いて行く先生の背中に

「それは先生と生徒だから?
私のこと好きじゃないの?」

私は尋ねた。


「大切にしたいと思っている」


冷蔵庫から何かを取り出しながらの背中越しの言葉。


「私たち付き合っているんだよね?」



戻ってきた先生は少し乱暴にソファに腰を落とし

「大人はそんな事、言葉にしないよ。

今こうして二人だけでいる。
それでいいじゃないか」

不機嫌に言った。





でも

そう言った先生の目は辛そうで

私はそれ以上は何も言えなくなった。
< 31 / 145 >

この作品をシェア

pagetop