契約


次の日、学校が終わり花依はいつもの近道の通学路を通る。


「パンツみえてんぞぉー」

「え!?」

振りかえると車にもたれかかる直樹がいた。


「こんにちは」

「これ、昨日車に忘れてたから」


どうやらブレスレットを忘れていたようだ。


「ありがとうございます」


「じゃーな」

「…あの、中山さん!」

「ん?なに?てか、中山さんって呼び方やめてもらえる?」

「じゃあ…直やん?」

「はははっ、何だよそれ!」


花依は、この時初めて直樹な笑顔をみた。


直樹の笑顔をみた花依には
…いつもの風景
…いつもの空気
が何故かとても輝いてみえた。


「冗談です、じゃあ…直くん?」

「それでいいよ、またな」

「はい、じゃあまた…」


初めてだった。
花依が男の人と話をしただけでこんなにもドキドキしたのは初めてだった。

直樹となら素直に話ができる。

直樹となら笑うことができる。


花依は直樹に…恋におちた。

初めての恋…「初恋」だった。




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