蝶の如く×月に瞬け


持参したシャンプーとトリートメントで髪を流す。


備わっているものは使う気になれない。

……ただのポリシーだけど。



浴場を出て、脱衣所で服を着る。





着すぎてボロボロになってきた淡いピンク色のレース付きチュニック。



―――新しい服、買いに行こ。






藁の椅子に座ってドライヤーで髪を乾かす。

これももちろん持参。



周りの音が一切聞こえなくなるほどのドライヤーの音。


濡れた髪が徐々にさらさらになっていく。




二つに緩く結び、携帯用のこてで縦ロールにしていく。




がま口タイプのポーチから化粧品を取り出し、顔を作っていく。




…すごく後ろに気配を感じます。




「あらあら、大変だねー梓紗ちゃん」

「……あはは」






おばちゃんに同情される。

多分…本当に悪気はないんだと思う。



―――つか、そんなの気にするほど私の心は狭くないし。





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