アヲイモリ
「素子は、毎日お母さんのところへ行って…」
アオイはそう言いながら、私の手を両手で包み込んだ。
「こんな感じで手を握って…」
「あ、アオイ…!?」
いくらなんでも…恥ずかしいし、少しドキドキする。
「お母さんに話しかけるんだ」
「…そ、それだけ?」
「そ。それだけ」
本当かどうか疑ったが…アオイが嘘をついているとは思えない。
でも、そんなことだけでお母さんが助かるんなら────…
「やる。やるよ、私っ」
「…うん」
アオイは今日一番の笑顔を見せた。
「………っ」
そんなアオイの笑顔にドキッとした私でした。