『吊り橋』で出会う
『吊り橋』で出会う

『吊り橋』

ユキがマモルと出会ったのはちょっとしたハプニングの中だった。


それは、地球温暖化の影響で異常気象が街を頻繁に襲った夏。

ユキは、地域では1、2を争う大きな本屋にいた。

そこはユキの行きつけで、カフェが併設されたおしゃれな本屋。

本屋は駅前のビルの2、3階を占めていた。


ユキは本を買う目的なしに、なんとなく本屋を訪れることがよくある。

いわば、本屋でウインドウショッピングをするのだ。

本や雑誌のラインナップを眺めては情報を仕入れ、興味が刺激されれば購入する。

今日もユキは仕事帰りにふらりと本屋を訪れていた。


店は帰宅ラッシュの時間帯ということもあってやや混み合っていたが、ユキの最近の興味は絵画だった。

絵画コーナーが混み合うことはほとんどなく、ユキはウインドウショッピングに熱中する。

絵画の知識に乏しいユキは、画集の中から数少なめの解説本を探してゆっくりと足を進めていた。


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