トリップ

「うぉぉぉぉっ!!」
「な・・・なんだよいきなり。」

あまりの冷たさに悲鳴をあげてしまう。
当てられたのは冷たい麦茶。
そして当てた犯人はケイラ。

「は・・・なんや。ケイラか。」
「男らしい声だすから、てっきり人違いかと思ったじゃねぇか。」

そう言って麦茶をこちらによこす。

「近くで見かけてよ、お前が虫の息でそこで寄りかかってたからさ。」
「ほんとに虫の息やわ。」

麦茶を一気飲みにして喉を潤すと、ふぅ、と息をつく。

「そんなにここの空気が合わねぇのか?」
「合わんッ!ここは窒素だらけじゃ!」
「窒素って・・・。」

いまいち意味が分からないようで、ケイラがポカンとする

「汗のせいで袖がきもく感じるわ。」
「そりゃ気持ち悪いだろうな。」
「・・・いや『きもい』ってのはそっちの意味やなくて、岐阜弁で『きつい』ってことやけど。」
「そういうの、勘違いされるぞ。」

少なくとも今のところは勘違いされていないが、一応気をつけようと肝に命じる。
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