トリップ
違う世界

黒い化け物


日曜が明け、また学校に通学した時は、まだエリカの額の傷は治っていなかった。
当然、先生にも見つかり、慌てふためく様子を見ると申し訳なく思える。

クラスの皆にも心配をかけてしまう。
昼休みになり、外を見てみると、いつの間にか雨が降っていた。
夏の雨は湿っていて不快感を覚える。

すると、職員室の方で先生の声がする。
近くで聞いていると、何やら怒っているように聞こえる。
エリカはもっと近づいて耳を傾けた。

「怪我ってどういうこと?ここの生徒の玉体に傷が付いたらこっちとしても人材が減る事は分かってるでしょ?あなた守り屋でも腕がいいんじゃないの?」

守り屋・・・。
それを聞いて、先生に怒られている人物がリクだと言うことに気づく。

(まさか・・・うちが怪我したから!?)

玉体なんて大げさすぎるだろう。
そう思うが、この空気に割り込む事は難しいだろう。
小声でリクが「すいません」と謝る声が聞こえた。

「俺のミスです。」

「ッ・・・!」

違う。自分のせいだ。
そう言いたかったが、どうしてかその場から走り去っていた。
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