花には水を



こんな感情、誰だってあるもんなの?




携帯を閉じると、急ぐように玄関へと向かった。




「えー朝ご飯は?」



「いらない」




「お弁当は?」




「いらな…いる」




そう返事した俺に笑いながら弁当を持ってきてくれる。




「…さんきゅ」



ぼそっと呟いて、弁当を受け取ると鞄の中に入れた。



「いってらっしゃい」



父さんを送り出すときのように笑って手をふる母さんに



「行ってくる」




俺はそういうと背を向けた。




息が白に瞬間的に変わる。



外は相変わらず寒い。




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