花には水を
家に帰って自分の部屋に行くと、机の引き出しから写真を取り出す。
お父さんとお母さん。
そして聖夜兄と私。
「なつかしいなあ…ほんとに。」
こんなときがあった。
家族みんなで笑ってる。
家族がいる、こんなときが。
手にとっていた写真を握りしめたとき
玄関の開く音が聞こえて、聖夜兄の声が聞こえた。
私は急いで引き出しのなかに戻すと、リビングへと向かった。
「おかえり」
私の声にネクタイを緩めていた星夜兄が振り向いて
優しい笑顔を向けてくれた。