花には水を
「…どこにいたの。何もされてない?」
顔をあげた連と目線がぶつかる。
綺麗な目が私を見ていて、その中に映る私はなんとも汚く見えるのだろう。
「うん、大丈夫。ほんとにごめんなさい」
どこにいたのか。
その質問に答えなかったのは、嫌われなくなかったから。
こんなときに、心配させるようなことをって、思われなくなかった。
これもまた、私のエゴ。
「良かった。もう、勝手にいなくなんな。お願いだから…。」
引き寄せられた体。
抱きしめられる体。
連と触れているのに、幸せなのに。
なんでこんなにも体は冷めていくの?
「瑞穂先輩も一緒に、灯を探してくれてたんだ。見つかったって報告しなきゃ」
連が私から離れて携帯から瑞穂に電話をかけ始める。
瑞穂、部活があるのに?
今までずっと私を探してくれてたの?
だめ。
だめじゃん、この前スカウトの人見に来て声かけてくれたって嬉しそうに、言ってたじゃん。

