夜中散歩
「これ、巻いてねー」
と言って、拓にマフラーを巻いていく。
私が巻いているのと色違い。
服を整理整頓していたら出てきた、ビニールに入った使っていないマフラー。
「おーあったかい」
嬉しそうに笑う拓。
それを見ているだけで、私も嬉しくなれた。

川原に並んで座りながら話をする。
「満月ねー昼より夜が好きだな」
手で丸を作って、その中に入る星を見つめる。
「どうして?」
不思議そうに私に聞く。
どうしてって言われると返答に少し困ってしまうけど。
「夜は泣いたって、誰も見ないでしょ?」
そう答えると、拓はふーんと言いながら空を指差した。

「でも、月が見てるよ」

星とは少し離れた場所にある月。
昨日よりも月の形が三日月っぽくなっている。
月の周りには青白い光。
川原の水に、月が反射してすごく綺麗。

「私は月より星が好き」
携帯を開き、写真を撮る。
その頃はデジカメ代わりとかに携帯の写真機能を使っていた。
可愛いものだったり、物珍しいものがあるとすぐ写真を撮った。
カシャ、という音がして、拓の携帯も少し遅れて一緒の音が鳴る。



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