夜中散歩
「あ、小雪じゃん今日は同伴じゃなかったの?」
「おはよう由梨ちゃん、今日は疲れてたからやめた」
「じゃなんで出勤してきたの」
「暇だったから」
こんなにふわふわしてて、普通の女の子なのに。
このお店で一番人気なのがこの人だ。
普段は普通の専門学生。私は少し、小雪さんと私は似てるって思ってる。
自分で学費も払って、一人暮らしをして。
私も人気ってよく言われるけど、この人には全然及ばない。
仕事に対する姿勢が私とは違う。
私はただ、楽してたくさんのお金を稼ぎたいって思ってるけど、小雪さんはこの仕事が天職だって言ってた。

都心から少し離れた場所。
だけど人が賑わうこの場所。
16歳、私はキャバクラで働いていた。

「真希ちゃん、こっちこっち」
手を引かれて連れて行かれた場所はみんなから少し離れた場所。
「どうしたんですか?小雪さん」
「今度ね、一緒に映画行かない?」
何を言い出すかと思えば、映画の誘い。
頷いて「じゃあ帰りに決めましょうか」と言うと、笑って頷いた。

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