女心とアキのソラ
11 女心とアキのソラ
『11 女心とアキのソラ』

その日の夜。

アキとソラの二人はいつもより早い時間に床についた。

アキはあのコカンショックのあと、大急ぎで家に帰って、ハルとナツに洗濯物を取り込んでもらいながらメイクを落とすと、子供を迎えに行って夕飯の支度をするとそれを食べさせ、風呂に入れて寝る支度をさせた時にソラが帰宅。
またテンションの上がった子供たちを何とかいなして寝かしつける、といういつもの仕事をこなしてくたくただった。

ソラもまた、コカン発言で逃げ帰った後、通常の仕事をこなし、ヤンジャンを部下に渡して「先輩、雪村は絶対先輩に気があるっすよ!」という今一番聞きたくない情報をとうとうと語られ、雪村さんが昼休みの後仕事に遅れず戻れたか気になりながらも見つからないように避けながら一日を終えて、心身ともに疲弊しまくって帰ってきたら子供にいつものテンションで出迎えられ、雑誌を渡せば付録を作るようせがまれ。

とにかく二人とももう寝たかった。

寝支度を済ませ、二人の子供を挟むように布団に入る。
柔らかいふかふかに身を沈め、身体の休まるがままに目を閉じるが、眠気は襲ってこない。

お互いに反対側で眠る伴侶が気になって眠れないのだ。

「アキ、起きてる?」

先に口火を切ったのはソラだった。

「ん」
「お前…その…ナツは、あの後大丈夫だったの?」
「うん、ずいぶん元気になって帰ったよ」

私を振り回すくらいにね、とはアキの心の声。

「ハルもずっと一緒だったの?」
「うん」
「どこか出かけた?」
「…いろいろ」
「そう」
「ソラ君は、朝食抜いちゃったけど、お腹すかなかった?」
「あぁ、朝コンビニ行ったし、昼たくさん食べたし」
「そう。…お小遣い、足りなくなったら言ってね?」
「珍しいじゃん」
「今回だけね」
「…」
「…」

無言。

と。

ソラがごそごそと、アキの横にもぐりこむ。
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