彼女の日記〜きみを忘れない〜


「どうして、あのタイミングで家に来たの?」


私が暴れている時に、ちょうどカズくんは来た。まるで知っていたみたいに。



「おばさんからさ、ゆいを止めてくれって連絡があってさ。」


「お母さんが?」


「うん。ちなみに、ゆいのケータイからね。」


ケータイ?そういえば、部屋に置きっぱなしだった。勝手に部屋に入って、勝手に私のケータイ使ったなんて。


「電話なんて珍しいから、何だろうと思ってでたら、『ゆいを止めて・・』だったからさ。何があった?」



言えない。余命、あと半年なんて言えない・・・



「なーんにも。口喧嘩がエスカレートして、あんなふうになっただけ。カズくんが来てくれなかったら、家中めちゃくちゃだったよ。」



「確かに、あれはひどいな。」



カズくんが笑っている。私の隣で、笑顔を見せてくれる。この瞬間が、今1番幸せ。





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