【中編】夢幻華
杏の想い
**杏の想い**


あたしには大好きな従兄がいる

4つ年上の彼はあたしが生まれた時からずっと傍にいた。

彼と離れる事なんて考えたことが無かった。

幼い頃から彼のお嫁さんになるのだとずっと信じて疑わなかった。

この気持ちが恋と呼ばれるものだと気付いたのはいつだっただろう

たぶん暁に初めて彼女が出来た時だったと思う。

あたしの気持ちはずっと前から決まっていたから、とてもショックだった。

彼の隣りで笑うのはいつだってあたしだと信じて疑わなかったから…。

彼が優しく抱きしめてくれるのはあたしだけだと信じて疑わなかったから…。

でも、そう思っていたのはあたしだけだった。


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